のどの渇きと無縁ですか
人間は1日2リットルの水を必要としているが、そのうち
半分以上を飲料水から摂取しないといけない。
しかし人間以外は必ずしも水を飲まないんだよな。
たとえばコアラなんか、名前からして原住民の言葉で「水を飲まない」と
いう意味だったりする。
名は体をあらわすというが、今やコアラって言って水を飲まないっていう
連想する奴いないだろ。
コアラのマーチって聴いて水を飲まないマーチって発想浮かばないだろ。
ていうかコアラのマーチって結構のど渇くような…
水を飲まないといっても水を必要としないってわけじゃない。
コアラの場合、ユーカリの葉から水分を吸収している。
カンガルーネズミやトビネズミなどの類はすさまじく高い水分吸収能力を
持っているため、生涯一度も水を飲まないといわれている。
一生水を飲まずに生きているってどんな気分なんだろうか。
もちろん彼らも水分を必要としないわけではない。
代謝や食物の中の水分だけで生存できるという機構が非常に発達している。
逆に水にぬらすと死んだりするということである。
…どこのサミアどんだ。
水を飲まないわけではないが水を蓄えることで耐乾性を獲得しているのが
ラクダである。
ラクダは一度に80リットルもの水を飲む。
体重比で言うなら、人間が1度に10リットルも飲むようなものである。
人間だったら水中毒などを引き起こす可能性があるため、そのような
ことはやったら非常に危ないのだが…
飲める水がまったくない環境に適しているこれらの生物がいる一方で、
大洋にすむ生物はそれとはまた別の機構で水分の確保をしている。
時に大洋を「海の砂漠」と呼ぶこともある。
栄養分も乏しく、周りに水があるといっても我々がそれ飲んだら死ぬ。
しかし魚類やら鳥類などは平気でそれ飲んでる(といえなくもない)
のだから恐れ入る。
海に住む魚類は塩類細胞を発達させている。
これによって不必要に多い塩分を捨てるのである。
海鳥の多くは鼻?というか目の上辺りの塩類腺という機構を使って
不要な塩分を排出しているし、まったく恐れ入る。
逆にイルカなんかは海水を飲んでいないようである。
餌から水分を補給するという意味ではどっちかっていうとカンガルーネズミ
とかに近いかもしれない。
一生懸命魚が水分保持してたところをイルカに掻っ攫われる、というと
なんだか悲しくなるな。
一方、多くの海産無脊椎動物は周囲と浸透圧が一緒なのである。
そうすりゃ確かに一生懸命水分保持のために頑張らなくていいだろうけど、
これもなんだかなぁ。
サメやエイなどは体内に大量のアンモニアを溜め込んで浸透圧を海水と
ほぼ同じにしている。確かにそれもひとつの手ではあるが…
正直なところ、生物と水とは切っても切れない存在なのだが、それなのに
よくまぁここまでの耐乾性を得られたものだと驚くしかない。
ちょっと運動したらすぐビールが欲しくなる人間とはえらい違いだ。
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